グローバルナビゲーションへ

メニューへ

本文へ

フッターへ

2024.6.15

生活の禅語 「主人公」

「主人公」は、禅書『無門関むもんかん』第12則にある言葉です。
中国・唐時代に名を馳せた瑞巌ずいがん和尚は、

「主人公」
「はい」

「はっきりと目をましているか」
「はい」

と、毎日自分自身に呼びかけていたそうです。
主人公とはどういう意味か改めて『広辞苑』で調べますと、

①主人の敬称。
②小説・脚本などの中心人物。ヒーロー・ヒロイン。
③[無門関]禅で、自己の本来の主体。瑞巌和尚は、毎日自分に「主人公」と呼びかけ、「はい」と返事をしていたという。

という解説があります。
恐らく②のイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

実は主人公の最初の意味は、③から始まったと言われております。
そんな「主人公」が今回のテーマです。

禅語の「主人公」。それは誰もが生まれ持つ、まっさらな自己のことです。

自らのあり方を大っぴらに確かめようとする瑞巌和尚のあり方は、一見滑稽かもしれません。しかし、あらゆる情報が渦巻き流れてゆく時代の中、私たちは視野が狭くなり、がんじがらめにされてしまいがちではないでしょうか。忙しい日々の中で自己に凝り固まっていないか、生きる中で肩に力が入っていないか。

そんな豊かに生きていくうえでの大切さをこの言葉は教えてくれます。

主人公、それはあなた自身にしか分からない本来のあなた自身のことです。
自分自身の人生を悔いなく生きられているのか、今一度確認していただき、
もしそうではないと感じられたのであれば、何か1つでも変えていただくきっかけになれば幸いに存じます。

合掌
洪隠山西芳寺 藤田隆浩

archive