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2023.11.1

西芳だより 令和五年十一月

令和五年十一月

よそおう秋。紅葉といえば京都、というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。西芳寺の境内も鮮やかに彩られます。苔の上にモミジが敷き詰められる様子は、まさに錦を広げたような美しさです。

紅葉を楽しみに西芳寺に来られる方が多いかと思いますが、ここでは少し違った楽しみ方をご提案してみたいと思います。

と言いますのも、実は今、西芳寺ではあるプロジェクトが進行中なのです。

庭園内に影向石えいこうせきという、しめ縄が張られた石があります。文献によると、室町時代にはこのあたりに水路があり、川から水が引かれて豊かな水の流れがあったのだそうです。今は石組みが残るだけですが、往時の姿を復活させよう、ということで、復活にむけて発掘調査を行っています。

先日も、専門家の先生方に現地を見ていただき、これからの調査方針が決められていきました。掘り進めれば新たな発見があるかもという期待がある一方で、やみくもに調査範囲を広げるわけにもいきません。先生が「知りたいことと、修復に必要なことは別だから、心の葛藤がある」とおっしゃっていたのが印象的でした。

数年がかりの事業ですので水路復元までにはもう少し時間がかかるようです。現在はシートに覆われているので調査の様子を見ることはできませんが、先人たちがかつて愛した庭園の姿を想像しながら歩いてみるのも面白いかもしれません。1周目は紅葉の美しさを堪能して、2周目は室町時代の姿に思いを馳せて。そんな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

西芳会 細谷

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