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2023.7.1

西芳だより 令和五年七月

令和五年七月

コンコンチキチン、コンチキチン――7月いっぱい、一か月にわたって続く祇園祭の花形行事といえば、やっぱり山鉾巡行。その先頭を行く長刀鉾(なぎなたほこ)は、現在唯一、生稚児(いきちご)を乗せる鉾です。おしろいを塗った真っ白なお顔に、紅を引いた涼やかな目元。神の使いというにふさわしい、凛々しいお姿です。

生稚児さんではないですが、西芳寺の庭園にもお化粧をしている植物がいます。半夏生(はんげしょう)です。梅雨に花を咲かせる半夏生は、葉っぱがおしろいを塗ったように白くなります。遠目から見ると大きな花が咲いているかのよう。半夏生の花は小さく、花びらがありません。ですから、空を飛ぶ虫に見つけてもらえるように、花のまわりの葉っぱを白くして、大きなお花に見えるようにしているのです。花が小さいことを嘆くのではなく、ありのままの姿を受け入れて工夫する。生きる知恵を教えてくれているようで、はっとさせられます。お寺の方にとっても、7月の西芳寺と聞いて浮かんでくるのは半夏生とのこと。「いつの間にか葉が白くなっていて、ふとした瞬間に池のあたりがふわっと光っているように見えるんです。梅雨の時期、苔ももちろんですが、そうした様子も楽しんでもらいたいですね。」庭園の黄金池に咲いていますので、お参りの際には探してみてくださいね。

厳しい暑さを乗り越えるべく、いま、樹木や苔たちは力を蓄えています。生命力あふれるお庭の中で、私たちも夏本番に向けて英気を養っていきたいものです。

西芳会 細谷

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