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2023.6.1

西芳だより 令和五年六月

令和五年六月

西芳だよりは、西芳寺の境内で感じた日々のあれこれをお届けするコンテンツです。西芳寺をお参りしたことがある方も、まだお参りに来られたことがない方にも、「西芳寺の今」を感じていただけるようお届けしてまいります。

第一号は梅雨の6月から。西芳寺では、春夏秋冬に梅雨を加えて「五季ごき」と季節を表現します。梅雨と聞くと、じめじめした薄暗い印象があるかもしませんが、ひと雨ごとに緑を深めていくお庭の様子を見ていると、西芳寺にとって特別な季節だと感じます。以前は雨が降ると少し憂鬱になったものですが、西芳寺と関わるようになってからは、降り続く雨を見て潤う苔を連想し、うれしい気持ちになるようになりました。

梅雨の季節には、本堂前の蓮池で蓮が開花します。2000年以上前の古代の種を現代に蘇らせた「大賀蓮おおがはす」という古代ハスは、とても鮮やかなピンク色の花を咲かせ、私たちを出迎えてくれます。あるとき「蓮は花が咲くときにポンという音が鳴るのは本当ですか?」と参拝者の方に聞かれたことがありました。西芳寺で生まれ育った和尚様に尋ねてみると、これまで聞いたことはないとのこと。真偽のほどは分かりませんが、美しい花を見ていると音が鳴るかもしれないと期待した人の気持ちがわかる気がします。

しとしとと雨が降る西芳寺の境内で、雨音に意識を向けてみるのも心調う時間ではないでしょうか。

西芳会 平井

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