2024.1.25
縁の交差点
クリエイターズインタビュー
寺田 未来(アートディレクター)
SQUEEZE Inc. 代表取締役。
アートディレクター/グラフィックデザイナー。
1977年京都生まれ。京都を代表する老舗企業をはじめ、全国の様々な企業、商品のブランディングから広告、グラフィック、パッケージ、WEBサイト構築と幅広く手掛ける。自身で運営する「人」をテーマとしたWEBマガジン「VATE」の企画・編集も務める。
https://www.squeeze-jp.com/
ー西芳寺のデザインで大切にしていることはありますか。
「目に見えないものを見る」をテーマとしています。
デザインそのもので言えば、目に見えるものをつくるわけですが、目に見えるそれ以上のものが感じられるデザインを大切にしています。また、西芳寺の中に脈々と受け継がれてきた歴史に寄り添い、長く残るデザインになれば良いなと思っています。
ー初めて西芳寺に来院された時、どのような印象を持ちましたか。
長年京都に住み、いろんな寺社に足を運んでいますが、西芳寺には何か特別なイメージを持っていました。それは1つ場所性もあるし、事前申込制を貫いているお寺であることもそうでしょう。とにかく、私としては特別なイメージを持って訪問させて頂いたのですが、持っていた情報から得た印象とは全く異なる、特別な空気を感じました。
ー特別な空気とは、具体的にどのような空気でしょうか。
そうですね、普段自分が見落としている感情や、思考に触れるような、そんな空気を感じます。自分がどれだけ「自分以外の何かに」影響を受けているのかも考えさせられました。つい、苔に目がいきがちですが、苔を見ているというよりは、自分を見ているような不思議な瞬間がたくさんありました。
ー実は「苔ではなく、自分を見ていた」というのは興味深いですね。自己と向き合う場であると。
人間の心というのは一定ではありません。日々、数秒ごとに刻々と変わります。綺麗な感情、黒い感情。自分でも説明がつかないし、自分のことさえはっきりとしない。それでも、自分に向き合い続けることで一瞬ひらめき、落ち着くことがあります。西芳寺にはそのような瞬間が落ちていると思います。