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2025.3.17

生活の禅語 「挨拶」

「こんにちは」「Hello」「Bonjour」「Guten Tag」
「Buenos días」「你好」「안녕하세요」

いろいろな国の「こんにちは」という挨拶を並べてみました。
外国語を覚える際に「ありがとう」と並んで役に立つのが「こんにちは」です。異国に行ったとき、挨拶をするだけで現地の人との距離が縮まります。日本にいても、海外の方が日本語で「こんにちは」と言ってくれると、親近感がわいてコミュニケーションを取りやすくなるように感じます。

そんなコミュニケーションの潤滑油のような「挨拶」は、禅語「一挨一拶(いちあいいっさつ)」の略語と言われています。現在使われている意味とは少し違うので、それを紹介いたします。

「挨」は積極的に近付き攻め込むという意味、「拶」はすかさず切り返すという意味です。
禅道場の師匠が弟子の修行の出来具合を推し量ることであり、元は禅問答なのです。

師匠からの急な問いに対して、弟子が咄嗟に答える。まさに真剣勝負です。考える隙もなく答えなければならないので、これまでの修行の成果が試されます。こんな厳しいやり取りが挨拶の語源です。

現代で類似の状況と言えば、街中で急に知り合いに声を掛けられた際、咄嗟の挨拶や返答に適応力が表れてしまう、と言ったところでしょうか。

挨拶には人の心が表れます。
例えば、転勤してきた人や新たに一緒のチームになった人から気持ちの良い挨拶をされたら、その人に対してのイメージは良くなると思います。
また、挨拶をすることによって、声のトーンだけでなく、表情や立ち振る舞い、身だしなみの良し悪しも相手に伝わります。

語源となった禅語「一挨一拶」が本来厳しいものであったことをふまえて、毎日の挨拶をひと工夫してみるのはいかがでしょうか。

いろいろと考えると、挨拶するのにも力んでしまうかもしれません。しかしそれでは良い挨拶にはなりません。挨拶ひとつとっても、修行です。どんなことでも自分なりに考え、深めていくと、大切なことに気付くものです。禅の修行は決して特別なことではなく、目の前にあることの連続なのだと感じていただければ幸いです。

合掌
洪隠山西芳寺 藤田隆浩

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